漫画千夜一夜物語 二夜目

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藤子・F・不二雄「異色短編集1」ミノタウロスの皿

異色というだけあって内容はドラえも・・・なんたらよりかなりディープ
読んでておもしろいのが、藤子ファミリー(2人しかいねえけど)の内でも
描かれる異色短編にきっちりそれぞれの色を出していることで
Aの方が現実世界で人の狂気や偏執によって巻き起こる惨事を描く一方、
Fの方は現実世界(もしくは未来)で超常的事態によって巻き起こる惨事を描くという
きちんと住む庭が区分けされている関係にあることだろう

事実、表題作である「ミノタウロスの皿」(*1)では
宇宙探査が可能となった未来を描いており、
宇宙船の記述や主人公のセリフからも
『この時代に生きる人類』はかなりの技術力を要していることが読み取れる
ただ、作品群一貫していえることは、話の主流として『未来の暗示』や
『SFという手法を用いて作られた世界での恐怖』を読ませているのではない、
先ほどの「ミノタウロスの皿」のラストシーン、
主人公がビフテキほおばりながら流す涙こそ物語最大の答え、
つまりは未来の恐怖ではなく現代の悪夢、
我々が内包している狂気であるともいえるのだ

この世は我々から見れば規律に則った疑うことの無い世界と言えよう、
しかしこの認識は我々の生活に対して答えを出しているわけではない、
ただ単にこの世界しか認識できないからそうと思っているだけで
すぐそこに非常識、もしくは超認識というべき未知の世界への扉が
口をあけて待っているかもしれない
その世界へ行ったあなたに元の世界を紛れも無き『世界』と認識できるだろうか
もしや本当の悪夢というのは我々の暮らす、まさに『この世』であるのかもしれない
藤子・F・不二雄の描く悪夢は我々の心が見ている幻影なのであろうか?
それとも我々が生きている現実なのであろうか?

*1(ネタバレあり注意)

宇宙探査が可能になった未来で、宇宙探査船が故障した乗組員が
惑星に不時着するところから、この話は始まる
空気があり、生活様式も地球の(特に古代オリエント文明)に酷似しているその星で
ただ一つだけ違うもの、それはこの星の支配者が進化した牛であり、
家畜とされているのが人間ということ、
やがて救助を待つ主人公は家畜として飼われている美しい女、ミノアに恋をするが
ミノアは「ミノタウロスの皿」という家畜(この星での人間)を料理して食べる、
名誉ある祭りの生贄に選ばれていた、主人公の思いもむなしく、
愛しのミノアは会場に到着し、祭りは実行されてしまう
最後のシーンは、救助された主人公は宇宙船でミノアのことを思い出し、涙を流しながら
宇宙探査での念願であったビフテキをほおばるという
なんともシニカルな終わりとなっている
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by unit-731 | 2006-10-03 21:34 | 企画
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